棚の一番下の段に、手書きのラベルのテープが四十本ほど並んでいる。値段は書いていない。

店主に聞くと、一本千二百円だと言う。値札を貼らないのは、貼ると減るからだそうだ。

理由を聞かれることに慣れている

このレーベルは配信をしていない。CDも作らない。カセットだけを、年に三本か四本出す。

理由をたずねた記事は複数ある。二〇二四年の音楽誌のインタビューでは「特に理由はない」と答えている。二〇二五年の別の媒体でも、ほぼ同じ答え方をしていた。

答えないことが答えになっている、という読み方は、たぶん本人たちの意図ではない。

説明すると、説明が作品より先に届く。

これはレーベルの一人が二〇二五年のインタビューで言った言葉で、私が直接聞いたものではない。

音は普通にいい

肝心の音について書いておく。四十分、ギターとドラムとテープのヒスノイズしか入っていない。演奏は上手くない。録音も良くない。

それでも二回続けて聴いた。理由は自分でもよくわからない。