公約の現状と成果
まとめ
選挙のとき、政党は「これをやります」と約束する。これを公約という。 この表は、第2次高市内閣の公約がどうなったかを追っている。2026.02.18に発足し、衆議院では自由民主党が316議席を持つ。
公約は全412項目ある。 そのうち「いつまでに」「どれだけ」が書いてあるのは40項目だけ。 残りは「進めます」としか書いておらず、できたかを数字で確かめられない。この表が追っているのは、確かめられる40項目のうち23項目である。
期限が来た公約は2件で、2件とも達成された。ただし、これを「100%達成」と読んではいけない。100問のテストで、返ってきた答案がまだ2問分しかない、という状態に近い。 その2問が丸でも、100点とは言えない。 残りは、期限前が19件、期限が書いていないものが3件ある。
約束どおりでなかったものが3件ある。できた・できなかっただけを見ると、この3件は全部「できた」に入ってしまう。
- 給付付き税額控除への移行は縮小して実施
- 安定的な皇位継承は公約を超えて実施
- 蓄電池の国内製造基盤 150GWh/年は先送り
答えが出るのは、9件が任期中(次の選挙まで。2030.02.08ごろ)。 残り10件は、それより後になる。結果の数字まで確かめられたのは3件だけ。次に確かめる日は2026.09.30。
2026.10.14 時点
23 / 40
政策にした公約
公約は全412項目。できたかを数字で確かめられるのは40項目。この表はそのうち23項目を追っている。
政策の数は24件。数値目標のない皇室典範や憲法改正も入れている。2 / 2
達成
分母は期限が来た公約だけ。期限前の19件と 期限の記載がない3件は数えていない。
3
約束と違ったもの
できたが、約束どおりではなかったもの。 できた・できなかっただけを見ると、消えてしまう。
2
期日を過ぎた照合
確かめる日を過ぎたまま置かれている。 次に確かめるのは2026.09.30、-14日後。給付付き税額控除への移行を見る。
状態(24件)
答えはいつ出るのか
任期が終わるのは2030.02.08の見込み。 次の衆議院選挙までの期間で、解散があれば早まる。 追っている24件のうち、任期内に判定できるのは9件。公約の期限は2033年・2035年・2040年・2050年と先に伸びている。 できたかどうかを、この政権の話としては確かめられない。
約束と違ったもの
縮小して実施
公約は飲食料品を「2年間に限り消費税の対象としない」(税率ゼロ)だったが、決まったのは1%。総理は事業者のシステム改修期間の短縮を理由に挙げている。ただし公約の文言は「実現に向けた検討を加速します」で、「実現します」ではない。
公約を超えて実施
養子の下に生まれた男子が皇位継承資格を持つことが明記された。これは立法府の総意になく、公約も養子縁組までしか触れていない。立憲民主党などが反対した。
先送り
経済産業省が2026年6月2日に戦略を改訂し、150GWh/年の達成時期を「2030年」から「2030年代半ば」へ変更した。公約は同年1月時点で「2030年までに」と書いている。
どこまで調べられたか
- 公約24/24
- 方針24/24
- 予定13/24
- 実施6/24
- 結果3/24
- 予測1/24
- 費用3/24
結果があるのは3件。施策を打ったことは結果ではないので、 ここが埋まるまで達成は判定できない。
まだ追っていない公約(17件)
期限か数値目標があるのに、政策として登録していないもの。この一覧が埋まるほど、上の達成率の分母が厚くなる。等級Aは期限と数値の両方、Bはどちらかを持つ。等級は重要さではなく、判定のしやすさである。
- B政府全体で1兆円規模の支援。賃上げに取り組む「100億宣言企業」による成長投資支援を抜本的強化。
- B3.6兆円規模の「こども未来戦略」の「加速化プラン」に基づき、「こども誰でも通園制度」の本格実施などの取組みを進めていきます。
- Bデータセンターや光ファイバー・5Gの整備、非地上系ネットワークの促進、「ローカル5G」や、「オール光ネットワーク」の活用による課題解決などにより、社会・経済活動の変化に即した情報通信インフラを…
- B洋上風力発電の計画立案の段階から、政府が積極的に関与し、地域との共生、系統の整備、港湾施設などの環境整備を積極的に進めます。また、着床式洋上風力のさらなる普及促進と、浮体式洋上風力の技術開発を…
- B電化や水素化などではCO2の排出が避けられない分野でも脱炭素を実現できるCCSについて、事業者の投資決定を促す支援策について検討し、 2030年までのCCS事業開始を目指します。
- B安全保障や経済社会で宇宙の重要性が高まる中、わが国の宇宙技術・産業基盤の強化を図ります。そのために、「宇宙戦略基金」を活用し、民間企業・大学等による、複数年度にわたる先端技術開発や技術実証、商…
- B当面1兆円超をAI関連施策の推進に投資し、AI利活用の推進とAI開発力の戦略的強化の好循環によるイノベーションを加速させるとともに、信頼できるAIの実現に向けてAIセーフティ・インスティテュー…
- B令和8年度から始まる「第7期科学技術・イノベーション基本計画」を策定し、国家安全保障の観点も踏まえ、
- B「科学の再興」に向け、 10兆円規模の大学ファンドの活用等による研究大学群の本格始動・拡大や、博士課程学生を含む若手研究者など科学技術人材への支援を強化します。また、大学等の基盤的経費や科研費…
- B地域交通について、集中対策期間(2025年〜2027年)における「交通空白」解消に向け、制度的枠組みの構築等による施設送迎車両等の地域輸送資源のフル活用、公共ライドシェア等の導入、地域交通DX…
- B中堅・中小企業・小規模事業者の「稼ぐ力」を抜本的に強化するため、良質な雇用を支える中堅企業や、売上高100億円を目指す成長志向の中小企業、小規模事業者、その基盤となる地域企業の設備投資や人材確…
- B令和7〜11年度までの5年間で、既存予算とは別枠で、事業規模おおむね2.5兆円(うち国費おおむね1.3兆円)の産地負担の少ない思い切った農業の構造転換集中対策を実施し、収益力向上の実現を通じた…
- B新規就農者の確保に向け、資金支援の交付額を165万円に引き上げる等、資金・初期投資の支援やサポート体制の整備、農業大学校・農業高校等の農業教育の充実、雇用環境の改善に取り組む農業経営体の支援等…
- B令和5年12月に、 3.6兆円という前例のない規模で、こども・子育て支援の抜本的な強化策をまとめた「加速化プラン」に基づき、児童手当の抜本的拡充、大学等の高等教育費の負担軽減の拡充、住宅支援の…
- B国民皆保険を堅持しつつ2040年頃を見据えた新たな地域医療構想による医療機関の連携・再編・集約化の推進、医師偏在是正などの実効的な対策により、持続可能で安心できる医療提供体制を確保します。生涯…
- B介護提供体制について訪問介護を含む受け皿整備と人材の確保を進め介護離職を防ぎます。 2040年に向けて、中山間地域を含め、地域の実情に応じた介護サービスの提供体制を確保するための取組みを進めま…
- B税・社会保険料の未納や制度悪用を根絶します。出入国在留管理庁と関係機関との税・国民健康保険料等のマイナンバー等による情報連携を行い、上陸審査・在留審査等に反映します。医療費未払情報報告システム…
数え方:公約PDFから、○または●で始まる箇条を取り出して数えた。「いつまでに」は年号と「まで・に」で見分ける。「どれだけ」は単位のついた数値で見分ける。機械で判定しているので、取りこぼしがある。
成果と、かかったお金
足さない。万トンと円は足せない。 「年間1.6兆円」と「10年間で20兆円」も、期間が違うので足せない。 ひとつにまとめた「政府の点数」は作らない。
- 地方財政への影響(地方分+地方交付税の法定率)減収見込み約1.6兆円/年間
- 輸出額(2025年)1兆7,005億円
- 改正前の率(基準)基準4%
- 現在の率(2026年9月時点)5%
- 成長志向型カーボンプライシング構想に基づく先行投資支援予算約20兆円/10年間
- 排出・吸収量(2024年度)約9億9,400万トン
- ガソリン税・軽油引取税の暫定税率廃止による減収減収見込み約1.5兆円/年間
食品ロス削減目標政権をまたぐ
- 事業系(基準年)基準547万トン
- 家庭系(基準年)基準433万トン
- 合計(2022年度)472万トン
- 合計(2024年度)461万トン
- 事業系(2024年度)237万トン
- 家庭系(2024年度)224万トン
この表で分からないこと
公約の数は機械で数えている。数えそこねがある。 追う24件を選んだのは編集部で、全部を追えているわけではない。やったことの証拠に、政府の文書がまだ付いていない政策が1件ある。
3件は、新聞や業界団体の資料をもとにしている。政府が出した元の文書(一次資料という)まで戻れていない。 どの政策かは各ページに書き、いつ差し替えるかも決めてある。 議席の数も新聞が出どころで、総務省の確定値に直していない。
専門家の予測は1件、かかったお金を書けたのは3件しかない。 この表のこれまでの訂正は0件。弱いところを隠すと、強いところも信用されない。だからここに書いている。
現政権
第2次高市内閣
- 内閣総理大臣
- 高市 早苗
- 発足
- 2026.02.18
- 枠組み
- 自由民主党。日本維新の会は2025年10月20日の連立政権合意書に基づく閣外協力で、閣僚を出していない。第2次内閣の閣僚は自民党のみ。
第51回衆議院議員総選挙(2026.02.08) 定数465
- 自由民主党316
- 中道改革連合49
- 日本維新の会36
- 国民民主党28
- 参政党15
- チームみらい11
- 日本共産党4
- れいわ新選組1
- 減税日本・ゆうこく連合1
- 無所属4
- 1強い経済で、笑顔あふれる暮らしを。
- 2地方が日本経済のエンジンに。
- 3わが国を守る責任。国際秩序を担う日本外交。
- 4すべての世代の安心と次世代への責任。
- 5時代にふさわしい新しい憲法を、私たちの手で。
2026年2月8日の第51回衆議院議員総選挙を経て、同月18日に発足した。 自民党は解散前の198議席から316議席へ増やし、単独で衆議院の3分の2(310議席)を超えた。
この議席は報道によるもので、総務省の確定値に差し替える必要がある。 出典の格が下がる箇所なので、ここに明記しておく。
第1次高市内閣は2025年10月21日に発足している。日本維新の会との連立政権合意書は その前日、2025年10月20日に署名された。維新は閣外協力で、閣僚を出していない。
25件
追っている政策
「中所得」・「低所得」の方の税・社会保険料負担を軽減するため、所得に連動したきめ細かな給付を令和11年4月から本格導入する。それまでの「つなぎ」として、飲食料品の消費税率を令和9年4月から2年間1%に引き下げる。
特定技能制度の適正化と育成就労制度の運用開始(2027年4月)
令和9年4月の特定技能制度の適正化及び育成就労制度の運用開始に向け、必要な準備を着実に進める。
標準的な出産費用の自己負担の無償化など、妊娠・出産に伴う経済的負担を軽減するための法案を次期国会に提出する。
政治資金の在り方について、国会に置かれる有識者会議で検討を加え、令和9年9月30日までに結論を得て、必要な法制上の措置等を講じる。
2030年のSDV(Software Defined Vehicle)で世界市場シェア3割を獲得する。
本年(2026年)中に国家安全保障戦略を含む「三文書」を改定し、新たな時代に対応した防衛体制を構築する。
次世代型太陽電池について、2040年までに20GWの導入を目指す。うち公共施設等には、政府調達等を活用して2035年までに5GW程度を導入する。
農林水産物・食品の輸出額を2030年に5兆円とする。
いわゆる「年収の壁」について、働き控えや手取りの増加への対応として178万円まで引き上げる。
5年以内に難民認定申請の平均処理期間を6か月以内にする。あわせて、退去強制が確定した外国人(令和6年末 約3,100人)を5年以内に半減する。
令和8年度から、公立小学校等での学校給食費の抜本的な負担軽減(いわゆる給食無償化)を実施する。
教職調整額の率を10%まで引き上げ、教師の処遇を抜本的に改善する。
安定的な皇位継承のため、「皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とする」案を第一優先として、皇室典範を改正する。
①自衛隊の明記、②緊急事態対応、③合区解消・地方公共団体、④教育の充実の4項目を中心とした憲法改正を実現する。
2033年までに国政における自民党の女性議員の割合を30%まで引き上げる。
公定価格により運営される医療・介護・福祉分野について、令和8年度予算案に盛り込んだ30年ぶりの大幅な報酬引上げ等により、物価上昇に対応し、幅広い職種において確実な賃上げを図る。
GXを成長分野として位置付け、150兆円超の官民投資を引き出す。10年間で20兆円規模の先行投資支援と、2026年度から本格稼働する排出量取引制度等の制度的措置を一体的に講じる。
2035年に乗用車の新車販売で電動車100%を実現する。
日本発コンテンツの海外市場規模を2033年までに20兆円とする。
2030年までに国内で150GWh/年の蓄電池製造基盤を確立する。
2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする。
災害対応の司令塔となる「防災庁」を令和8年中に創設する。
約50年ぶりに、ガソリン税と軽油引取税の暫定税率を廃止する。
一割を目標に衆議院議員定数を削減する。次期国会において法案の成立を目指す。
家庭系食品ロスについては2000年度比で2030年度までに半減(2030年を待たずに早期達成)、事業系食品ロスについては2000年度比で2030年度までに60%削減する。
索引
担当する省庁別
経済産業省
文部科学省
自由民主党
内閣官房・財務省(社会保障国民会議)
出入国在留管理庁(法務省)・厚生労働省
厚生労働省・こども家庭庁
国会に置かれる有識者会議
内閣官房・国家安全保障局
農林水産省
財務省・厚生労働省
出入国在留管理庁(法務省)
内閣官房
厚生労働省
経済産業省・環境省(GX実行推進担当)
経済産業省・国土交通省
内閣府(知的財産戦略本部)・経済産業省
環境省・経済産業省
内閣府(防災担当)
財務省・総務省
自由民主党・日本維新の会(連立政権合意)
消費者庁・農林水産省・環境省
同じ省が持つ公約をまとめて見ると、どこに仕事が集まっているかが分かる。
見本
実在しない政策
型を確かめるために置いた架空の政策。実在の政策ではない。
- 地域交通再編計画(架空)
- 2030年度末までに、人口3万人未満の自治体における公共交通の空白地域を半減させる。